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——もともと青果物転送業はご存知でしたか？

いえ、全然です。
前職も営業職だったのですが、
転職活動をしていてたまたま見つけました。
入社して仕事につくまで、どんな仕事なのか全く想像もつかなかったです。

——始めてみてどうでしたか

1日が終わるのがとても早いです。
全国300くらいのお客さんに電話するとなると、
1件5分でも長すぎるくらいです。
その短い時間で雑談含めて状況も掴んで、
取引を交わして商品の売買を進めていくため、
朝6時から仕事をしてて、気がついたらもうお昼なのかというほど
時間が経つのが早く感じます。

——慣れないうちは大変そうですね

最初の2、3年は大変でした。
でも、お客さんと良い関係性ができ始めたら、
徐々に楽しくなりました。
今はもう、これ以上の仕事を考えられないくらい楽しくやっています。
同業者も多いので、
生半可な気持ちで仕事をしていたら、他社に仕事が流れてしまうので、
己に負けないように自分を追いこんで
仕事に向き合わないといけない厳しい世界でもあります。

——電話だけでやりとりするときのコツは？

朝一発目の声のトーンを聞いて、言葉の使い方を変えますね。
お客さんが元気よく「おはようございます！」っておっしゃったら、
こちらも明るく返しますし、
お客さんによって100通り以上のやり方があります。

——失敗した経験はありますか？

相場を読めてこその商売ですので、
努力不足で、情報収集がおろそかになり、
相場を読み間違えて、損を出すこともありました。
そこを反省して、取り返すためにさらに努力する。
それで良い成績残せたら、良いものを食べたり、
自分にご褒美あげたりしています。

——この仕事で伸びるのはどんな人だと思いますか？

経験と知識がなにより生きてくるので、
先輩に教えてもらうことだけではなくて、
自分でどんどんやり方を変えていける人が伸びてきます。

——どんな人に来てもらいたいですか？

向上心と、いい意味での野心をもってる人は育て甲斐があります。
同世代と張り合うだけじゃなくて、
上司を超えてやると思える人が理想です。
弊社は設立3年目でまだ新人も多いので、
入社するなら今がチャンスだと思います！

——担当野菜は大根だとお聞きしましたが、
大根ならではの難しさはなんですか？

たとえば夏場だと傷みやすく、
時間が経つとともに、大根の葉がすぐに黄変してしまいます。
この時点で商品価値がなくなってしまいますので、
こうならないように夏場は一段と気をつかいます。

——ずっと大根を担当してらっしゃるのですか？

はい。
卒業したときに入社した会社も青果転送業でしたので、
10年以上です。
それから毎日電話してるお客さんもいます。

——仕事をするうえで大切にしていることはなんですか？

なによりも人間関係、これが大事です。
困ってる人を助けたら、
次は逆に助けてくれるんです。
その繰り返しです。

——電話で話すだけで人間関係を築くのは大変そうですが

私たちは、声でしか判断できないので、
最初は声色を読むことが、とても大変でした。
なので、会話で空気をつかめないことも頻繁にあり、
電話を切られることもありました。

——それでも、めげなかったんですか？

心が折れたことは私にもあります。
ですが、意外にもお客さんはなんとも
思ってなかったりすることもあるので、
本当に根気よく続けるだけです。
その甲斐あって、今ではお客さんと仲良くなり、
プライベートでゴルフに行ったりしています。

——そこまで仲良くなることもあるんですね！

基本、お客さんとは電話のやりとりだけで、
普段は顔を合わせないんですが、
やっぱり仲良くなる人もいますね。
たまたま共通の趣味がみつかったりもします。

——お客さんとの関係は良さそうですが、
社員さん同士はどうですか？

私の個人的な意見としたら、理想の会社だと思います。
仲間意識がとても強いので。
このメンバーで仕事ができてよかったと、強く思っています。

——前の職場では、職人さんだったとお聞きしましたが

はい。前職は着物の染色補正の仕事をしていました。
職人の世界なので動かすのは手だけで、
一日中しゃべらないこともありました。
それがすこし窮屈で、
全く正反対の営業職に興味を持ちました。

——入ってみてどうでしたか

僕自身は営業未経験で、
もちろん思いどおりに行かないところはありますが、
努力しているうちに上達している実感はあります。
口達者なことが営業の絶対条件ではなく、
コツコツと真面目に仕事に向き合うことが
大事だと思っています。

——市場の方とのやりとりでは、
独特の「符牒」も使うんですよね。

例えば、
「仕切りはチョンブリ、ドーグなら使ってもいい」
みたいに言われます。最初は全くわかりませんでした。

——暗号ですね……。これの意味は？

仕切りっていうのは、その日の相場。
チョンブリは12、ドーグは11。
符牒は商材によって120円になったり、1200円になったり。
この言葉の意味は、
「1200円で売らないといけないから、1100円なら買ってもいい」ですね。

——どうやって覚えるんですか?

文字を見て意識的に覚えようとしたこともあったんですが、
ごちゃごちゃして覚えられなくって。
でも、毎日電話してたら自然に覚えました。

——次は相場の読み方をお聞きしたいんですが

僕はトマトの担当者として、仕事をしてるんですが、
最初のうちは、相場をつかむのはなかなか苦労しました。
慣れてきたら、夕方の雰囲気から朝にかけてで
なんとなくですがわかるようになってきます。

——全くの未経験者でも
1年でここまでできるようになるんですね！

営業が全くの未経験でも、問題はありません。
今は、スーパーに行ったら
いくらで売ってるとか、どの産地が入荷しているかとか、
トマトの箱を持ち上げてチェックするようになりました(笑)